食品製造会社のビジネスマッチングを支援

頑固一徹、職人社長の夢を実現せよ

S社は東根市で餃子を作り続けてきた創業30年の食品製造会社である。主な商品は生餃子と餃子の皮で、地元小売店への卸販売を主体に事業を展開してきた。もちもちとした食感と奥行きのあるシンプルな味わいには定評があり、とある地元有名スーパーマーケットチェーンでは、すべての店舗の餃子をS社から仕入れて販売しているという。従業員数は当時8名。これを職人気質の二代目社長が率いている。

餃子作りに専心する職人社長との出会い

 これが職人というものなんだな…。さくらんぼ東根支店に赴任し、S社を担当することとなった寺岡は同社のこだわりの仕事ぶりを見てそう思った。いまから2年前のことである。担当する以前からS社の評判は耳にしていたが、そうした思いをさらに強くしたのは仕事に対する社長の姿勢であった。

頑固な職人肌の社長は派手な事業拡大を決して好まず、あくまで地道な商いに徹することを旨として日々の餃子作りに没頭していた。もったいない、そんな思いが頭をよぎることもあったが、寺岡は社長の理念を尊重するかたちでS社に寄り添い続けた。

胸の内の夢を聞くことができたある日

「拡大は、どうしても難しい」あまり多くを語らない社長がそうつぶやいたのは、寺岡がS社に通い続けて1年ほどが経過したある日のことだった。社長の胸の内には、事業を拡大するビジョンが実は秘められていたのである。しかし品質を追究する職人としての信念がそれを阻んでいた。 一枚ずつ手で具材を詰める真白な餃子の皮は、わずかでも異物が混するとすぐさまクレームとなる。そのため、万が一の事態にも即応できるよう商いは手の届く範囲に留め、遠方からの引き合いは断り続けてきたのだった。また、焼き餃子の小売りという業態の多角化を考えたこともあったが、長く付き合ってきた地元の取引先と競合してまで押し進める気にはなれない。「仙台なら、できるかもしれない」社長のその言葉を受けて、寺岡はすぐに行動を起こした。

胸の内の夢を聞くことができたある日

行内の連携でビジネスマッチングを実現

 行内には渉外で得られた取引先の事業課題を共有するためのデータベースがある。寺岡はS社の販路拡大に関する事項をそれに入力した。反応は早かった。仙台の弓の町支店からの情報提供だった。ある外食関連企業が、東北楽天ゴールデンイーグルスの本拠地「Kスタ宮城」での餃子屋台出店を考えているという。寺岡は弓の町支店の協力を得て先方企業がS社の餃子を試食する機会をセッティングした。反応は上々で、S社の仙台進出はほぼ確実となった。現在は、生餃子として卸すか、それとも皮のみの卸販売として具材は先方の自社調達とするかで検討が行われている。

ちなみに皮のみの卸販売のほうが利益率は高い。加えて、餃子の食べ放題店のプランが最近になって浮上したらしく、そうなれば増産体制の整備に向けた融資ニーズが発生する可能性もある。「何のために働くのかを考えたとき、“本業支援”はベストな答え。それは人のためであり、地域のためであり、最終的には自分のためとなる」このビジネスマッチングを経て寺岡は、自分たちがいま向かっている方向が間違っていないことを確信したと語る。